ホエールです。
だいぶご無沙汰しております!
おかげさまで2月、たいへん忙しくさせていただき、ブログにタッチできない日々でした。
釣行はあまり遠くに行く時間も取れず、近場でシーバスを中心にちょこちょこと合間を縫って浮いてはいましたので、またそれは追ってまとめたブログを書きたいと思います。
その前に、先日のkayak55ユーストリームでも放送したのですが、こちらをやはり文字にして自分自身の備忘録としてもまとめておきたいと思います。
2月19日におこなわれた
JSCA主催「事故に学ぶリスクマネジメント」研修会
に参加させていただきました。
昨年12月に三河湾でのシーカヤックの事故があり、2名の方がお亡くなりになりました。
同じ海でカヤックを漕いでいる自分にとっても他人事とはとても思えません。
心より、お二人のご冥福をお祈りいたします。
この事故を踏まえ、JSCAさんの方で安全講習イベントが開催されると聞き、これは絶対に参加したいと思った次第です。
講習、研修会という形態ですが、みんなで「考える」ことを目的にしたイベントということです。
実際に参加してみて思ったのですが・・・
カヤックの安全面において、やはり最大公約数的な正解はあるとは思います。でも、乗っている艇も違えば、地域性も違えば、スタイルも違う中で「何が正解で何が間違っているとは断言ができない」ところがあるなと。
ですから、このレポートもイベントの内容を報告させていただきながら、私自身の感想や考えは青字で書いてみようと思います。その青字はあくまでも僕個人の感想なので、青字の部分が誰にでも正しいわけではないということをご了承ください。
会場は愛知県の蒲郡・西浦パームビーチ。
自宅のある浦和からはおおよそ330km、4時間〜4時間半ぐらいはかかりそう。
一人長旅かぁ〜と思っていた・・・ら!
前日にウノケンさんから電話があり、一緒に行かないかというお誘いがあり、ウノケンさんと乗り合いで行くことになりました。経済的にも助かる〜!
一週間ちょっと前は大雪で御殿場あたりが通行止めになっていたので心配していました。(場合によっては新幹線と在来線を乗り継いで行こうかと思ったぐらい)でも、一週間の間にすっかり暖かくなり問題はなさそうです。
講習は10時から。朝4時に出発すればまず間に合うでしょう!
って・・・早いわぁ〜(笑)
ウノケンさんとくだらない同世代トークをしながら進む東名高速道路。ウノケンさんとは趣味も釣りの趣向もかなり似通ってるので楽しい!
この日は強風で、カヤックを積んだエスティマは区間によっては風に煽られまくって60kmで走らなければならないところもあったぐらいでしたが、ゆっくり安全運転で・・・
とにかく遅刻だけが怖かったので、ここまで何も食べていません。
マルちゃん焼きそば使用のパン。
関東では見たことがなかったのですがこっち限定なのかな?めちゃ腹持ち良かったです!
そして、いよいよ蒲郡エリアに入っていきます。
愛知は、名古屋に昔タツノリくんが住んでいたのでよく遊びに行ったもんですが、蒲郡は人生初です。
実はちょっとだけ・・・あわよくば浮きたいとか思っていたのですが、今日は風が強くて断念せざるを得ないでしょう。
そして到着。
蒲郡、美しい!
今日はツーリングのシーカヤックの方が多いと思ったのですが、カヤックアングラーの皆さんもたくさんお越しになられていました。
短い時間だったので全てのカヤックアングラーの皆さんとお話できなかったのは残念だったのですが・・・懐かしい顔ぶれとお会いできただけでも来た甲斐がありました。
シーカヤックのインストラクターでもあり、フィッシングカヤックも詳しいJASCA公認スクールのNatureTripKayaksの古川さんが駐車場係をされていました。
僕にとっては古川さんはカヤックフィッシング黎明期からネット上で繋がらせてもらっていた「けーふぁくさん」です。その後、本当に常人ではできないような努力をされてカヤックのインストラクターとして活躍されています。
実際にお会いするのはいつぶりでしょうか?生モヒカン見たかったのがかないました!(笑)
さらに!
池田さんとは浜名湖をガイドしていただいたり、逆に関東にお越しいただいてリザーバーでカヤックバスを一緒にやったりとしていたのですが、ここ数年はお互いに多忙でなかなかお会いできなかったので久しぶりで嬉しかったです。
そして・・・今回感動で震えたのが
ストクラさん、はじけようさん、RIMさんとお会いできたこと。
RIMさんは、以前関東にいらっしゃって、その頃、僕達が「イカマスター」と呼んでいた方です。
その時代はまだカヤックからのティップランエギングという概念がなく、カヤックからのエギングはキャスティングのみだったのですが、抜群によく釣る方でした。
当時、僕は勘で適当にカヤックエギングをしていたのですが、RIMさんとご一緒した時に衝撃を受けました。
RIMさんのカヤックエギングは艇のポジションの取り方、ラインとロッドの角度、フォール秒数を頭の中で数えるカウントダウン方式など、全てが画期的で合理的だったのです。そして、釣果はダブルスコアでした。僕の倍イカを釣ってらっしゃいました。
そのRIMさんの釣り方を参考にして、ベイトタックルにてアレンジしたのですが、そこから僕のキャスティングのカヤックエギングはぐっと釣れるようになったのです。
RIMさんはその後、転勤で東海地方へ。今は真鯛マスターになっています。
そして、ストクラさんとはじけようさんは、地域は違えど、カヤックフィッシング黎明期にぜんぜんノウハウや情報もなかった時代、ネット上で様々な情報交換をして今の僕のカヤックフィッシングのベースとなる部分を一緒に作っていった・・・僕からの一方的な思いですが戦友だと思っているお二人です。
ストクラさんは以前、東京出張に来られた時に一度お会いしているのですが、はじけようさんとは今日初めてお会いできました。感動でした・・・実際にお会いするまで、実に10年以上時間がかかったのです。
はじけようさんは、想像どおりの声をしてらっしゃいました(笑)
なんだか、とてもはじめてとは思えない。
ちょっと涙が出そうになったなぁ〜。
他にもフェイスブックで繋がっていただいている方、よく私の動画やブログを見ていただいている方、kayak55で艇を買っていただいたお客様・・・たくさんのカヤックアングラーの方とお会いできました。
今日はシーカヤックの方が多いイベントだと思っていたのでとても嬉しかったです。
フィッシングカヤックは一時安定性が高い部分では安全な部分もありますが、逆に言えば、幅広になっていくわけで走破性ははるかにツーリングのシーカヤックには劣ります。
いざ風が吹けば一気に進まなくなりますから逆に危ない乗り物とも言えます。だからこそ、より安全面を意識しリスクマネジメントを意識しなければならない乗り物だと思います。
シットオンは気軽に始められるのが特徴ですが、人間の生活圏外の水の上に出る以上、危険とは常に隣り合わせの乗り物であると常に意識しておくべきです。
そんな思いもあって僕も個人的にこのイベントで多くを学びたかったですし、同じ思いでここに集まった仲間がたくさんいることが本当に嬉しかったです。
会場に行ってみましょう。
まだ開始時間まで時間がだいぶありますが、かなりの人数が集まってきていらっしゃいました。
Kayak55の仲間のニモ2とコリンを乗りわけているFさんも関東からお越しになっていました。
後から知ったのですが、参加人数96名、スタッフを合わせると100名以上だったそうです。
地域別には愛知県35名、三重県25名、和歌山7名、静岡9名、関東13名、日本海側5名、と広い範囲からご参加いただき、そのメンバーも、シーカヤックメインの方が70%、フィッシングカヤックメインの方が30%、SUPメインの方が2名と幅広かったそうです。
(これはレインボー中谷さんのブログから引用させてもらいました)
そのレインボーの中谷さんにご挨拶しておこうとまだ設営中の会場内へ。
中谷さんは超一流のシーカヤッカーであり凄腕カヤックアングラー。
以前、一泊二日の合宿釣行でご一緒させていただきましたが、1m30cmオーバーのシイラをはじめ一番釣ってました。(いや・・・正確にはレインボーのスタッフのさえみさんが一番釣っていたかも!)
ツーリングのシーカヤックの世界とフィッシングカヤックの世界。本来、海で漕ぐという部分やパドリングのテクニック部分では共通点ばかりなのに、その目的と乗っている艇の違いからなんとなく距離が出てしまう・・・レインボーの中谷さんとさえみさんは、そのツーリングのシーカヤックの世界とフィッシングカヤックの世界どちらも精通し、垣根を越えて活動されていらっしゃるところが本当にすごい。
そして、ロックをこよなく愛する男。なんといってもご自身のカヤックのメーカー名がロックンロールカヤックスで、艇の名前がデスペラードです。
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ここからイベントの報告に入っていきたいと思います。
まずはレインボーの中谷さんから挨拶があり、今回の事故でお亡くなりになったお二人へ全員で黙祷が捧げられました。
直接のお客様ではないにしても、やはり地元の蒲郡の海でカヤックで亡くなった方が出てしまったことは中谷さんとしては本当に悲しかったと思います。
もしも僕がホームにしている場所(例えば三番瀬や富津や三浦など)でカヤックの死亡事故が起こってしまったら・・・自分に置き換えると心が締め付けられます。
なにより、亡くなったお二人が壮絶な状況下に置かれた時を想像し、ご家族のお気持ちを想像すると、本当にいたたまれません。
海に出ている以上、どんなベテランだって事故に遭遇する可能性があります。自分自身が遭難する可能性も当然いつでもあるわけです。
そんな悲しい事故を繰り返さないために、今回のイベントが開催されたのだと思い、参加者である私も真剣に聞いて考えたいと思います。
「サニーコーストカヤックス」本橋さんが司会進行をされました。
的確な知識と経験に基づく説得力のあるトーク力、僕をはじめフィッシングカヤックの参加者はあまりこういう集まりがないのでちょっと緊張気味だったと思うのですが、本橋さんの軽妙なトークで最初からとてもリラックスして参加できたと思います。
今回の事故で分かっていること、そして海上保安官目線でのアドバイスをお話いただきました。
まず、事故当日の状況のご説明がありました。
12月11日、シーカヤックで三河大島に渡った二人が帰ってこないという連絡がご家族から夜に入り、捜索されて発見されたが、残念ながらお亡くなりになっていた。
当日は午前中は穏やかで、午後は風が強かった。おそらく午後は8m〜瞬間的には10m以上の風。ちなみに北西は今回のお二人が通るコースでは戻りにくい風であったということです。
発見時の水温は16度〜17度ぐらい。発見時の海況は北西10m、波1.5mだったとのこと。
お二人の服装は、お二人ともにライフジャケットは着用。お一人がロングジョンにウィンドブレーカー的なもの。もう一人がセミドライのパドリングジャケット+パンツの組み合わせでインナーは割りときちんとされていたそうです。
昼には島からご家族に連絡があったそうで、昼までは行動が分かっていますが、そこから発見までのおよそ半日の間の行動は不明。これは調査中ではあるがなかなか分からないということ。
つまり事故の原因は不明であること。
また個人情報の部分もあり公表はできないこともあるとのこと。
艇には大きな亀裂等はなく、航行中は大きな浸水はなかったのではないかということ。携帯電話がお一人は艇内。お一人は胸に入っていたが防水携帯だったが機能していなかった。
ということでした。
海上保安署の方の感想としては
◆明るいうちの通報ならと悔やまれる
(暗くなると捜索が段違いに難しくなる)
◆ご本人達から118番に通報して欲しかった
(位置情報がとれ、捜索しやすくなる)
◆携帯は身につけて欲しい
(お一人は艇内だった)
◆防水携帯もレベルがいろいろなので防水パックに入れて欲しい
(今回は防水携帯が海水の影響からか機能していなかった)
海上保安庁では携帯の電源が入っていれば位置はおおよそ分かるそうです。
さらに海上保安庁さんに電話をしてもられればさらに位置情報で場所がぐっと絞りこめるそうです。
そのためにも通信手段の確保をお願いしたいということでした。
三河湾内であれば本人からの通報であれば30分〜1時間で到着できるということでした。
ちなみに、118番の海上保安庁の救助は無料です。
ここからの青字は僕の個人的な感想で、自分自身が気をつけていきたいと思ったことを備忘録的にメモをしておきます。
やはり携帯電話が最後の生命線になるということ。
携帯はPFDの胸ポケットに防水バッグに入れてポケット内でリューシュしておくことが必要だと強く感じました。(たとえそれが防水携帯でも)
艇に置いておくと、もしも艇が流されてしまって自分だけで漂流した際にどこにも連絡ができないです。
今回も携帯電話が機能していれば・・・30分で救助が来ていたらもしかすると助かった可能性もあるのではないか・・・と思うとやりきれない部分があります。
あとは海況、気象の読みの部分。ツーリング用のシーカヤックとは一概に比較はできませんが、僕らが乗るシットオンはさらに航行性能が落ちる乗り物。特に今回のケースのように後半荒れる予報の時の出艇判断や行動範囲の判断には十分気をつけるべきだと。やはり天候が一番リスク要因になりやすいと思うのです。
そしてウエアリングの部分は、この水温だったらドライスーツがベストだろうとは感じました。もちろんドライスーツでも長い時間、低い水温の海に浸かっていれば大丈夫ということではありません。でも、少なくとも体温低下で身体が動かなくなるまでの時間はロングジョンやセパレートタイプよりは稼げるだろうと思います。
以下は今回の事例とは話が逸れてしまいますが・・・・
海上保安庁を呼ぶと恥ずかしいとか、呼んだら生還しても責められるかもとか躊躇せず、無理だと思ったら即時、118番をするべきだと強く感じました。家族の元に無事に帰ること、それが一番大切なことです。
今回、海上保安庁さんから、躊躇なく呼んで欲しいとおっしゃっていただき、とても安心した部分があります。
もちろん海上保安庁さんのお世話になるようなことがないように最大限の努力をしていくことは必要です。リスクをなるべく回避して一生、安全で楽しくカヤックを漕いでいければそれが最高です。
大前提として、海上保安庁さんを呼ぶような自体に陥らないようにする努力は惜しまないことはカヤックに乗っているもの全員が個人個人の責任でしっかり取り組んでいくべきことであることは間違いないです。
(これは午後のディスカッションにつながっていくテーマ)
でも、どんなに気をつけていても相手は自然です。絶対はない・・・
繰り返しになりますが・・・海にカヤックで出ている以上、たとえベテランであっても誰にでもいつだって遭難・要救助の状況に陥る危険はあります。もちろん僕もしかりです。
だから、海上保安庁を呼んだケースがあったとして、原因を分析することは大切ではありますが、責めるような風潮はなくしていくべきだと思うんです。呼んだ方を非難している人も、その方がカヤッカーならいつだって自分が遭難する可能性はありますから・・・。
怖いのは、ふだんあまり大きなことを言ってしまっていたりすると、もし自分が救助を必要となった時に118番を押すことを躊躇して救助を呼ぶタイミングが遅くなってしまったりしがちだと思うんです。それでもしも・・・があったらそれが一番悲しい。
だから、自然相手のスポーツをやっている僕らは日頃の行動はもちろん、言動にも常に自然への謙虚さが必要だと思うんです。万が一の時の自分自身のためにも・・・。
その他、海上保安庁さんからは以下のお話がありました。これも大変参考になりました。
そのひとつが、捜索する側からの率直な意見としての視認性ついて。
◆PFD(ライジャケ)やウエアは明るい色の方が見つけやすい。
◆艇の色も明るい方が見つけやすい。
◆特にオレンジ、イエローが見やすい。
◆青、黒、赤でも暗い赤は海の色に溶けやすい。
◆白は意外に見やすいが、荒れてくると波の色に同化してしまう。
◆フラッグも有効。リフレクターやストロボライトもないよりはあった方がいい。
捜索する側からの目線で、とにかくやはり目立つ色がいいということでした。
ここからの青字はまた僕の感想です。
もちろん法律で決まっているわけでもないですし、やはりカヤックは趣味の世界で、みんながみんなイエローとオレンジのカヤックとウエアで均一されていくっていうのもちょっと寂しい部分はあります。自分自身のモチベーションとして好きなカラーの艇やウエアは外せない要素でもあります。
でも、その中でも例えばフラッグはオレンジする、PFDはオレンジにするなど、できる範囲の努力はしていけるのではないかと。
僕は春〜初夏、初秋のシーズンはウエットスーツも多用します。それはひとつウェットにはやはり体温を守るメリットがあるからです。
でも、ウエットはどうしても色が黒になってしまうので、少なくてもその時はライフジャケットはオレンジ系にしようと思いました。夏場もラッシュガードが黒いのでやはりそうしていこうと。
そして、僕は艇のカラーが白地にピンクで視認性がすごく良いとは言えないので、ウエットとラッシュガードの時以外のパドリングウエアはなるべく明るい色にしようと思います。
フラッグとリフレクターは常に装備していますが、フラッシュライトは最近持っていっていませんでした。もしも暗い時間に捜索されることを考えるとやはりあってしかるべきだと思います。何かこれだという良いアイテムを検討してみます。
海上保安庁の方のお話はやっぱり捜索の現場からのお声ですから、とても現実感があり勉強になりました。本当にありがたい時間でした。
ここで文字数がかなりいってしまいましたので、イベントの後半の報告はまた後日にUPします。
〜つづく〜