2月19日におこなわれた
JSCA主催「事故に学ぶリスクマネジメント」研修会
の後編です。
前回同様に、このレポートもイベントの内容を報告させていただきながら、私自身の感想や考えは青字で書いてみようと思います。その青字はあくまでも僕個人の感想なので、青字の部分が誰にでも正しいわけではないということをご了承ください。
〜つづき〜
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JASCAの皆さんから質問があって、当てはまった方は挙手をして、その中から何人かが指名されてマイクで話すというような形でした
これが素晴らしいかったです。たくさんの参加者の方のいろいろな考えや普段の装備などが聞けてとても参考になりました。
質問は多岐にわたっていました。
シーカヤックかフィッシングカヤックかSUPか?
経験年数は?
地域はどこから来ているのか?
スペアパドルは積んでいるか?
天気予報をチェックしているか?
シーカヤックの方はスプレースカートをつけずに漕いでしまったりするか?
などなどなど・・・
その質問の結果に「答えはこれです」というような終わり方をするわけではありませんでした。
「これが正解!」ということを出すことが目的ではなく、JASCAの皆さんの「みんなで考えることが目的」だという姿勢がとても伝わるディスカッションでした。
正直、JASCAのインストラクターの皆さんは経験が深いので、本当は答えを持っているはずです。
でも、それを押し付けずに、みんなでディスカッションをするように促すような進行をされていたのが印象的でした
艇も目的もスタイルも地域もそれぞれで、ある人にとっては正解でも違う人にとっては不正解になるということがあります。
相手は自然ですから「絶対はない」わけです。
時間も限られていたので全ての参加者の方のご意見を聞くことはできませんでしたが、当てられた人の発言を聞いて「なるほど、こういう考え方もあるんだ」とか「たしかにそうかもしれない」とか「考えもしなかった」「知らなかった」というようなことがあって、本当に勉強になりました。
ちなみに僕は当たらなかったので発言することはなかったのですが、あくまでも僕のスタイルにおける部分では以下のように考えていることをまた青字で記載しておきます。
※あくまでも青字は僕が考えていることで、もちろんこれが正解というわけではありませんのでご注意ください。
【パドルリューシュについての僕個人の主観】
今回「パドルリューシュは使っているか」という質問もあり、その使い方(使うタイミングや外すタイミング)もひとそれぞれで、とても参考になりました。
僕はパドルリューシュはフィッシングカヤックでは必要なアイテムだと思っています。
ツーリングのカヤックでは常にパドルを手に持っていると思いますが、フィッシングカヤックの場合は釣りをする時はパドルから手を離してしまうからです。
過去に1本しかないパドルを流出してしまって航行不能に陥り海上保安庁さんを呼んだケースが実際にあると聞いています。
(前回のブログで書いたように、その方を責めるわけではなく、そういう事例があったので今後みんなで気をつけていくべきだという意味で紹介しておきます)
また、これまでシットオンの再乗艇の練習は数え切れないほどやってきていますが、片手にパドルを持った状態ではかなり難しくなると感じています。
できなくはないですが、もし実際に大荒れの中でとなると僕には自信がない。
もちろんスペアパドルも必ず積んでいますが、パドルリューシュを外した状態で付け忘れてしまっていることが多々あり、今後は気をつけていきたいとあらためて思いました。
パドルリューシュを外すタイミングなどの質問あり、何名かのご意見を伺っても鬼漕ぎする時は外した方が漕ぎやすい、釣りをする時だけつける、海に出ている間はつけっぱなしであるとか、スタイルによって様々な回答があってとても参考になりました。
僕の場合は、出艇時と着岸時はパドルリューシュを外すようにしています。で、それ以外はつけっぱなしです。
特に着岸時はもっともひっくり返る可能性が高いタイミングなので、リューシュされていると波に揉まれた時に身体に絡まる可能性があるからです。
また着岸した後は片手にパドルを持った状態でサッと陸上におりてバウのハンドルを掴んで上がるのでリューシュが外れていないと難しくなります。
リューシュは身体に絡まるリスクも同時に持ったアイテムです。もし絡まってしまった時のためにレスキューナイフは必ず準備する必要があり、常にPFDに常備は必要だとも思います。
また、さらに言えば流出以外の破損という可能性もパドルにはあるため、スペアパドルを積んでおくとなおリスク軽減になると思います。
【艇と自分のリューシュについての僕個人の主観】
今回のイベントで「艇と自分をリューシュしている人はいますか?」という質問がありました。
こちらに、僕の想像以上の方が手を上げていたのは驚きでした。(シットオンの方とSUPの方になると思います)僕と同じように考えている人はけっこういるんだなと。
あくまでも個人的な意見としては、フィッシングカヤックでは艇と自分のリューシュは必要だと思っているんです。
ただし、これについては意見が大きく別れるところなので注意が必要です。
なぜ僕が艇と自分をリューシュ派かというと、シットオンのフィッシングカヤックでは沈=沈脱だからです。
(シーカヤックは艇と自分が一体化しているのでひっくり返った時点ではカヤックと自分は一体化していて沈脱状態にはならない)
以前、やや風が強い状況下で再乗艇練習をしていた時、意図的に沈をした後にカヤックをホールドしそこなったらカヤックがどんどん流されて泳いで追いつけなかったことがありました。(もちろん複数人で練習していたので危険ではなかったのですが)
もちろん個人の泳力にもよると思いますが、ライフジャケットを着ていると、思ったより速く泳げないなと実感したのです。
また、僕がフィッシングカヤックを初めてから13年ぐらいになりますが、その間にフィッシングカヤックでの死亡事故が、僕が知る限りですが、本当に残念ですが数件起こっています。
やはりその全てが明らかに強風の日だったこと(一件はさらに夜間の出艇)ということが分かっています。
そして、その死亡事故の全てがカヤックが先に見つかって、人間が後から見つかっている(もしくは見つからなかったか・・・その後どうなったかが調べられず不明)という形です。
つまり、フィッシングカヤックの死亡事故では僕が知っている全ての事例で「艇と人間が離されてしまっている」のです。
ここから、僕はソロで出る時は自分と艇をリューシュすることにしました。(レスキューナイフは必ず常備)
ただ、これは上記のとおり、リューシュが身体に絡まるリスクがパドルリューシュ以上にあるため、本当に判断は難しいところなんです。
リューシュしないというのも正解でもあるのです。
現在は僕はワンタッチで外せるSUP用リューシュを足首にしています。ただ、これがベストかどうかはまだ言い切れない部分もあります。
もし艇と自分をリューシュするならば練習でのシュミレーションは絶対に必要で、もちろん切断用のナイフは絶対に装備というのが条件だと思います。
今年の夏はまた何度も再乗艇練習でひっくり返ってシュミレーションしてみたいと思います。
その他、ディスカッションの中で、僕がなるほど!と思った部分を参考としてまず記載しておきたいと思います。
【PFDについて】
PFDのフィッティングをしっかりやっているかという質問もありました。
自分専用のPFDを持っていると、ほぼベルトの位置が変わらないのでフィッティングはおざなりになりがち・・・でも、ウエアの重ね具合が変わったり、あとは体重の増減などがあるとたしかに実はベルトの適正な位置が変わることがありますよね。
毎回出艇前にしっかりベルトを締めて出る、これも大切なことだと再認識しました。
【天気について】
どのサイトの天気予報をチェックしているかという質問があって、参加者の皆さんから、いろいろなソースとなる予報の情報源が紹介される中で、僕がとても参考になったのが
予報のチェックはもちろん大切。でも同じぐらい「実際どれいぐらい吹いていたか」を振り返っておくことも大切。
というJASCAの方々のご意見でした。
これは本当に目から鱗でした。
これまで、僕は複数のソース(海快晴、GPV、Windytv等)で風の“予報”を見て、あとは現場判断にてカヤックの出艇や撤収を判断していました。
がしかし!
実際にその日の海でどれぐらいの風が吹いていたかの確認をしていませんでした。
JASCAさんでは、かならずカヤックのツーリングの後に日報をつけて、その日の天気図を貼り付けて、予報と比較する形で実際の天気はどうだったかなどを記録しているそうです。
その膨大な記録が経験値として溜まっていくわけですね。
ご来場されていた逗子カヌークラブのjogoさんも同様に必ずデータを記録しているという発言がありました。
過去のデータがあれば、1年後の同じような天気図の日の天候の傾向が、ある程度の予測がつきやすくなるわけです。
ただ、海には絶対はなく、jogoさんは「特に最近は海の天候が変わってきて経験則どおりにいかないことが増えている」といるとおっしゃっていました。
それでも、ないよりは絶対にあった方がいいデータとなるわけです。
その時に以下のサイトが参考になるそうです。
海上保安庁の海の安全情報の気象現況
(スマホ専用サイトもあり)
ポイントはある程度限られますが、最寄りのポイントを見れば「今、実際にはどれぐらいの風が吹いているのか」が分かります。
また、過去12時間、実際にどれぐらいの風が吹いていたのかも後から振り返ることもできます。
予報と実際はどれぐらい違っていたのかを確認しておくことって確かに大切ですよね。僕はこれをまったくやっていなかった・・・(汗)
そして、いまや天気図もいろいろなサイトで確認ができます。
高気圧は時計回りで風が吹き、低気圧は反時計回りで風が吹く、風は気圧が高いところから低いところへむかって吹く、等圧線が狭まると風が強く吹きやすい・・・などの基本的なことを知っておくだけでもひとつの目安になると思います。
正直、自分は天気図は見ていたのですが、それも含めて予報しか見ていませんでした。反省です。
あんまり大変な作業だと続かないので・・・その日、実際にどうだったかをアイフォンでキャプチャーして写真で残して溜めていくだけでもいつでも見返せるので参考になる日がくるかなと思いました。まずはできることから、そこらへんからやっていこう!
【名札について】
これは内田さんと豊島さんがおっしゃっていたと思うのですが、
艇に名前を書いて欲しい
というテーマでのお話がありました。
例えばですが、海岸に置いていた艇が潮の満ち干きで流されてしまったとしても、無人の艇が発見されたら事故があったのではと海上保安庁が動かなければならない。
もし名前が書いてあって連絡が取れれば、その手間が格段に減る。たとえば、もしもそれが本当の事故だったとしても、身元がいち早く分かる。
前述の通り、カヤックと人間が別々に発見されるケースが多いので、艇とPFDにそれぞれ計2枚、名前・住所・生年月日・緊急連絡先・血液型などを書いた名札を入れておく・・・やはりこれはやっておいた方がいいだろうと思いました。
僕はこれに関しては数年前からやっていますが、以前作った名札がそろそろボロボロなので・・・新しく作り直そうかな!
イベントの全てを報告しきれなかったかもしれませんが、このように本当にいろいろなことを学び、考えさせれ、再認識する貴重な一日となりました。
最後に、今回の講師の皆さんからのお言葉を少し紹介させていただきます。
「経験は役に立つが、役立たないこともある。海は常に新しいことがあるからだ」
(内田さん)
「40年海に出ていても、いまだに海は怖い」
(豊島さん)
「パドリングや海況の読みや対処などの技術も大切。だた、声掛けする技術も大切。カヤック、フィッシングカヤック、SUP関係なく現場では声掛けしあっていこう」
(森田さん)
「いろいろな複合要素で事故が起こる。それをみんなで考え、共有することで事故は減っていくはず」
(中谷さん)
「人間がやっていることだから事故はゼロにはならない、でも限りなくゼロに近づけていくことはできるはず。そのためにみんなで考え、みんなで取り組んでいきましょう」
(中谷さん)
この貴重な機会を作っていただいたJASCAの皆さんに感謝です。
そして、ご参加の皆さんもたくさんの参考になるご意見があり勉強になりました。
ありがとうございました!
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さあ、イベントが終わってからはちょっと中谷さんのお店「レインボー」さんに寄っていきます。
初めて行くので超楽しみです!
その前に・・・
お会いしたカヤックアングラー仲間のみんなと再会を誓い、しばしのお別れです。さみしいなぁ〜。
はじけようさんからは、なんとお土産いただいてしまいました!
RIMさんからも、みかんをいただいてしまいました・・・
(しまった・・・僕らも何か持ってくるべきであった!汗)
いやぁ〜芸能人に会った気分です!
今日はイベントはもちろんのこと、皆さんにお会いできたのが嬉しかった・・・いつか、どこかの海でご一緒させてください!
そして・・・
ここかぁ〜!
とうとう来たぞー!
(指でRという文字にしようと思ったのですがぜんぜん出来てない!笑)
レインボーさんの店内。いい感じでカオス(笑)でも、それがまた秘密基地って感じで最高に居心地が良かったです。
さえみさんが淹れてくれたコーヒーの美味いこと!ありがとうございました。
内田さんもいらっしゃって、ウノケンさん&ホエールでたくさんのお話を伺うことができました。今回のテーマとは違う、海とカヤックの関わり方であったり、海の海藻が減少しているお話、海と山がつながってることの大切さ・・・・等々。まさに知らないことだらけ。一晩お話を聞き続けたいぐらいでした!ありがとうございました。
そして、なんといっても中谷さん。
今回のイベントにこれだけの人数、しかもシーカヤック、フィッシングカヤック幅広く集まったのは中谷さんの人柄があってのこと。そして、事故を一件でも少なくするぞ!という気概をビシビシと感じました。
スクール、販売店、カヤックメーカー、パドルメーカーと本当にお忙しい中で貴重なイベントをやっていただき本当にありがとうございました。
最後にレインボーのお二人と、アングラーズカヤックの池田さんと記念撮影!
ぶっちゃけ・・・
一泊二日で来たかったーー!
次はぜひ海の上でご一緒しましょう!
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さあ、僕もウノケンさんも、明日から仕事がたくさんあります。
関東へ帰りましょう!
はっきりいって腹が減りまくってましたが、今食べたら眠くなって危険。とりあえず静岡県まで一気に走ります。
ひたすら走り・・・
最近、観覧車まで設置された富士川パーキングまでやってきました。
よっしゃ、ここまで来れば、ほぼ毎週のように行っているバイキングカヤック工場からの帰り道、慣れたもんです。そろそろ飯いっときましょう!
富士川パーキングとくれば、やっぱりコレ食べとかないと!
桜えびのかき揚げ&釜揚げのコラボレーション・・・まずいわけがない!
かき揚げのパリっとした食感を液体でしなっとさせないためなのかな。
(写真から猛烈な飢えが伝わってくるわ・・・笑)
美味い・・・
美味い・・・・・・
うまーーーーいーーー!
いやぁ〜美味い。(しつこい)
我慢した甲斐があった夕飯でした。富士川パーキングのレストランは日中なら富士川と富士山がドーンと見えますし、ほんといいパーキングですね。
ミル挽き缶コーヒー400円にはさすがにびびって手が出せず(笑)
パーキングの売店のおばちゃんにウノケンさんが
「あんた、髪の毛!刈ったばかりでしょ、今日?昨日?寒そうだよ、何もこんな寒い時期に坊主頭にしなくてもいいのに!もうちょっと暖かくなってからに刈ればいいのにねえ。ああ、寒そう、寒そうだよ。」
(ウノケンさんのフェイスブックより抜粋)
と言われてました(笑)
やっぱり旅はいいですね(笑)
まるで一日の間の出来事とは思えない充実した時間でした。
ウノケンさん、長時間の移動もおつかれさまでした!またカヤックシーバス、一緒にやりましょう!